お疲れ様です、帯刀です。
今回は施主様が気になる「雨の日の作業」について解説します。
構造体が木の為雨の作業、雨に濡れることに「心配だ」との声を聴くことが多いです。
人生を賭けた買い物となれば尚更です。
そのような声にお答えし、不安の解消について役に立てばと思います。
雨の日の作業について施主様から問い合わせ(心配事)を受ける事が多々あります。
主に
・雨の日に基礎のコンクリートを流し込んでいるけど大丈夫?
・雨の日に上棟作業しているけど大丈夫?
・外に出ている材料が雨に濡れているけど大丈夫?
・柱や床が濡れてしまったが大丈夫?
になります。
日本の気候風土ですと工事期間中(4~5か月)に雨が降らないのは、まずあり得ないのはご理解いただけると思います。
しかし、カビや腐食が心配と気にする施主様がいらっしょるのも事実です。
では、雨に対して現場ではどのような判断、対応がとられるのでしょうか?
では、参りましょう。
天気予報の活用
我々現場監督は担当物件が決まると図面を元に、工事の着工から竣工(工事が終わる事)までの工程(工事の順番)を決め、各業者さんに連絡します。
その時にある程度雨を考慮して工程を組みますが、工事を進めながら1週間や10日単位で天気予報を元に工程の微調整を行います。
その際に気象庁は勿論ですが民間や米軍の天気予報も参考にします。
私が主に見るのは皆さんもご存じなYahoo天気予報、ウエザーニュース、日本気象協会、他にGPV気象予報、、台風の情報はデジタル台風:気象情報、ウインディーです。
予報サイトによって多少違いがあるので各社の情報を包括的に見て判断します。
ただ、他の会社の監督も同じように天気予報を見て工程を変更するので、早めに判断しないとコンクリート打設や足場の掛け払いは予定が入らない(工程が伸びる)ことがありますので判断のタイミングが難しいです。
昔に比べれば予報精度かなり高くなっていますが、台風は進路が東に寄ったり西に寄ったり、時には1回転したりと今だ予報が難しいようで現場泣かせです(涙)
建売住宅と注文住宅とでの判断基準の違い
建売住宅と注文住宅とでは雨による工程変更の判断基準が違います。
建売住宅は完成して購入していただいて初めて会社に利益が発生します。
対して注文住宅は着工前に契約をいただいた時点で利益が確定します。
この違いは何を意味するかというと建売住宅は利益を生むためには、早く完成して販売をしなければいけません。
例えば着工から販売までが1棟6か月と4が月の物件があったとします。6か月物件はの1年で2棟販売できますが、4か月の物件は3棟販売できます。
これが多棟現場で1現場4棟建てると1年で8棟と12棟、4棟も販売数に違いが出ます。
建売住宅の場合は先行投資をしますので、1日でも早く回収した方が会社は助かるので工事期間は重要になります。
なので多少の雨でも工事は進めます。
注文住宅は着工前に建物の大きさや仕様に合わせて工期を決め契約、入金していただくので建売住宅ほど工期に神経質にはなりません。
が、施主様の入居時期にも影響が出るのと、当初の工期を過ぎれば経費が掛かりマイナスになるとで工程管理に気は抜けないです。
以上のような違いを踏まえて前出の疑問に対してお答えします。
Q1
雨の日に基礎のコンクリートを流し込んでいるけど大丈夫?
A.
基本的に雨の日にコンクリート打設はNGです。ただ小雨で打設後にブルーシート等で雨に当たらないように養生を行えば打設はOKです。
Q2.
雨の日に上棟作業しているけど大丈夫?
A.
建売住宅の場合は上記の通り工期短縮の為作業を行い、注文住宅の場合は施主様の心配事を減らすため延期します。
しかし、柱、梁、床合板は雨で濡れた位ではすぐにカビや腐食が発生することはありません。
雨の日の高所作業は安全管理の見地からはNGです。
私は余程の理由がなければ雨の日の上棟作業は中止します。
Q3.
外に出ている材料が雨に濡れているけど大丈夫?
A.
こればダメです。キチンとブルーシート等で濡れないよう配慮してもらいましょう。
Q4.
柱や床が濡れてしまったが大丈夫?
A.
たとえ1日中雨に打たれたとしても芯まで水分を吸うことはありません。
確かに表面の数mmは水分を吸いますが水に浸っている訳ではないのでほとんどの雨は流れ落ちてしまします。
木材が吸った水分は夏場で2日、冬場でも4日あれば乾きますので心配ありません。
ブルーシートなどを掛けるとシートと木材の間に雨水が留まってかえって良くないです。
現場での対応
現場でに対応としてはブルーシート等でのシート養生しかありませんが、シート養生をすることがかえって良くないこともあるので作業内容や雨の降り方により判断します。
上棟後は雨仕舞と言って外壁の透湿防水シート張り等により雨が室内に入ってこない作業や仕組みが完了した後、断熱材を入れる前に含水率計を使用して木材の含水率を計測します。
含水率はプレカット工場出荷時は13~16%(工場の規格によります)なので現場での計測値も同じくらいの数値を確認して次工程(断熱材入れ)に移ります。
プレカットとは製材工場で木材を切断、加工することです。
プレカット工場で加工された材料を現場に搬入して大工さんが込みたてるのが殆どで、木造住宅構造体の柱や梁はほぼ100%プレカットです。
最近では神社やお寺の工事もプレカットを採用しているようです。
事前説明の必要性
殆どの施主様はこのようなことを心配しています。
であれば、営業や設計段階でしっかり説明してあげることが必要と思います。
着工してからでは心配で毎日現場を見に行く様になってしまします。
そのような心配事、モヤモヤした引掛りを少しでも減らせるように事前説明は必要と思います。
営業、設計から説明がない場合は施主様から要求しましょう。
まとめ
施主様は人生を賭けた買い物をしているので心配になるのは当然です。
建売住宅と注文住宅で判断基準や対応に違いはありますが湖や川に浮かべたように浸っているわけではないので1日ぐらい雨に打たれたからと言ってすぐにカビや腐食が発生したりはしません。
どうしても心配であれば監督に相談して2~3日ほど工場扇と言って大型の扇風機をレンタルしてもらって作業時間の間風を当ててもらいましょう。
以上、帯刀でした。
ありがとうございました。