戸建て住宅の基礎に鉄筋の錆が見つかると、強度不足など「大丈夫か?」「騙されたか?」などの心配が頭をよぎりますよね。
しかし、ご安心ください!
このブログでは、建築知識のない人に向けて、基礎の鉄筋に発生する錆について分かりやすく解説をして不安を解消するための情報を紹介します。
「新築工事中を見に行ったら鉄筋が錆びていた!」
工事中の新居を見に行ったら基礎に使われている鉄筋が錆びていてビックリ!
そんな経験はありませんか?
戸建て住宅の現場監督をしていると鉄筋の錆を見たほぼ全員のお客様からご指摘を受けます。
「錆びた鉄筋を使うと基礎の強度が下がるか心配だ」
「そもそも錆びた材料(鉄筋)を使うのってどういうこと?ありえない!」
「おたくの会社の品質管理はどうなっているんだ‼」
「錆びた安い材料を使っているのか!」
と語気の強弱の差はありますが、概ね心配している様子の連絡を受けます。
それはそうですよね、大事なお家の重要な基礎に関する事ですから。
今回は実際にわたくし帯刀がお客様にご説明して、ご理解、ご納得いただいているのと同じように鉄筋の錆について解説します。
結論として、錆びた鉄筋は使ってはいけないのか?
使っても問題ありません!
ただし、
「ここまでは使用可能」「これはダメ」という判断基準があります。
このあとに錆についてと使用可否の判断基準の解説をします。
では、早速参りましょう!
そもそも錆は良くないもの?
錆にもいろいろな種類があります。
表面に薄っすら浮いた錆はOK、触ってパラパラと かさぶた のように剥がれ落ちるのはNGです。
このように錆た鉄筋の使用可否の判断は錆の状態で判断できます。
その前に、錆とは何なんでしょう?
googleなどで検索すると「大気中や水中の酸素の作用で金属の表面にできた酸化物や水酸化物の固体」と教えてくれます。
が、よくわからないですよね。
簡単に説明すると、
鉄の表面に酸素や水分があるときに、化学反応をおこして表面から浸食される現象のことを「腐食」といいます。
この腐食によって溶け出した鉄と酸素や水分が結びついた結果できるものが「赤錆」です。
この時の化学反応を酸化と言い性質は酸性になります。
ちょっと難しい話になってスミマセン。
で、この錆がなぜ良くないものなのか?
この後詳しく説明しますが錆によって「鉄筋の太さが細くなる」からです。
本来の太さより細くなれば弱くなるのは誰にでも分かる事です。
鉄筋(鉄)に発生する錆の種類
鉄筋(鉄)に発生する錆には赤錆と黒錆の2種類があります。
見た目はその名の通り赤いのが赤錆、黒い(青黒い)錆が黒錆です(笑)
今回取り上げるのは赤錆になりますが、ではまず黒錆とはどういったものなのか?簡単に説明しますね。
黒錆は赤錆と違って表面に均一にできる薄い膜状の錆です。
鉄筋や鉄骨を製造する際に高温に熱した鉄を使いますが、これが冷える際に周りの酸素と化学反応を起こして表面にできる青みがかったものが黒錆になります。
黒錆ができることにより赤錆の発生(酸化)を抑えることができますが、黒錆はとても弱いのでぶつけたり曲げたりすると剥がれてしまい、そこに赤錆が発生する事となります。
ですので赤錆に対して黒錆は”いい錆”という印象が持つ人がいます。
次は錆の進行についてです。
錆びた鉄筋の使用可否判断
どの程度までの錆の状態(腐食の進み具合)なら問題ないの解説します。
下の画像のように魚のうろこや かさぶた のように幾重にも重なって指で触るとポロポロと剥がれてしまう
ここまで錆びた(腐食が進んだ)鉄筋は使用できません。
建築資材として使用可能は鉄筋の錆は、表面に薄っすらと発生して指で触ると粉状の赤錆がつく、または鉄筋に残る程度です。
上の画像のような状態であれば問題ありません。
先程も書きましたが赤錆は黒錆が剥がれた箇所や曲げ加工した箇所に発生するので、そういったところが赤茶けてきます。
工事中の鉄筋を見るとよくわかります。
それとは別に鉄筋全体に赤錆が薄っすらと発生している場合ばどうか?
これも使用可能です。
全然問題ないです。
ただし先程のうろこ状の錆のように錆を除去した結果、鉄筋の断面形状が変わる(小さくなる)ようでは使用不可になります。
では、使用可能範囲の錆が発生している鉄筋で配筋(鉄筋を組むこと)してコンクリートを流し込み基礎をつくった場合、その後はどうなるのか?
答えを先に言うと錆(腐食)は進行しません!
なぜ?と思いますよね。
先程も書きましたが錆は酸化した酸性の物質です。
対してコンクリートはアルカリ性です、しかも強アルカリです。
錆の酸性の度合いよりコンクリートのアルカリ性の度合いが強いためコンクリートに中では錆(腐食)は進行しません。
ですので、錆びた鉄筋を使ってからといって基礎の強度が下がる(弱くなる)ことはありませんので、
安心してください!
コンクリートの中で錆がひどくなる(腐食が進む)と強度に影響がある?
基本的にコンクリート内では錆はひどくなりませんが、コンクリートの状況が変化すると錆がひどくなり強度に大きな影響を及ぼします。
ただし、50年とか長い年月が経ったコンクリートは風雨に晒されてアルカリ分が抜けてきます。
アルカリ分が抜けてくると酸性とアルカリ性のバランスが崩れて中性になります。
中性になると錆(腐食)が進行し始めコンクリートの中で膨張し、やがて鉄筋付近のコンクリートが剥離して錆びた鉄筋が露になります。
この症状を一般的には爆裂と言います。
古い校舎等で見かけたことありませんか?
下に爆裂の画像を貼ります。
こうならないためには鉄筋の錆よりカブリ厚さの方が重要です。
カブリ厚さとはコンクリートの表面から一番地近い鉄筋まで距離です。
このカブリ厚さは基礎や柱のような場所と屋外、屋内かで指定寸法が変わります。
基礎の場合は推奨70mm、最低でも60mmは必要になります。
他にも基礎工事に関する記事のリンクを下に貼りますので、是非ご覧になってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
錆びた鉄筋は使ってもいいが使用可否の基準があり、コンクリート内部では錆(腐食)は進行しない
確かに錆に対してはいいイメージはありませんが、この記事を読んでいただけたなら工事中の基礎に錆びた鉄筋が使われていても慌ててびっくりすることはないでしょう。
それに今は品質管理という意識は大手住宅メーカーから地場の工務店に至るまで浸透していますので、触るとボロボロと剥がれ落ちるほど錆びている鉄筋を使うところはないので安心していいと思います。
専門用語はなるべく噛み砕いて書いたつもりですが分からないことがあれば下記のX(旧Twitter)、Facebookへ質問をいただければお答えします。
以上になります。
以上、帯刀でした。
最後まで読んでいただきありがとございました。