こんにちは、帯刀です。
今回は建物の印象を決定づける外壁工事 その2 左官工事になります。
前回のサイディング工事と同じく重要な工事になります。
左官仕上げはサイデイングと違い長い歴史があるだけに仕上げの柄や模様、色はサイディングの比ではありません。また、経年により風合いが変わり段々いい感じになってきます。
左官仕上げというと古風な日本家屋を想定する方もいると思いますが、少し前から流行っている南欧プロバンス風な建物も左官仕上げの代表格です。
では、参りましょう。
左官工事って?
左官工事に歴史は古く縄文時代の竪穴式住居まで遡ります。
ですから木造在来の建物との相性は抜群ということになります。
初めは土を団子状にして積み上げるだけでしたが、その後竹や木材壁の芯を造って強度を増したり、色の違う土お混ぜて調色をしたり時代と共に進化をしてきました。
江戸時代に入ると皆さんご存じの漆喰壁が開発、普及してきました。
「火事と喧嘩は江戸の華」と昔の方々は言っていたそうですが、漆喰壁は耐火性が良いので防火にも一役買いました。
現在戸建て住宅に使われている材料は主にモルタルを何層かに分けて塗り、壁下地を作って最後に仕上げ材を塗り足すか、吹付けます。
工法、仕上げに関してはすべて経験している訳ではないので私からの説明に限界があるので現在一般的な住宅に行われている仕上げ、工法について説明しています。
そのほかの仕上げ、工法に興味のある方は下記一般財団法人日本左官業組合連合会のHPを参照してください。
一般社団法人 日本左官業組合連合会 (nissaren.or.jp)
防水紙、ラス網貼り
防水紙につてはサイディング工事時に説明しましたが、ここでもう一度おさらいをしましょう。
何かの原因で雨がサイディング材の内側に入ってしまった場合に備えて事前に防水紙を貼ります。
昔は紙にアスファルトを染み込ませた物を使用していましたが、最近では不織布を原料とした透湿防水シートを使用します。
その名の通り建物側の湿気を外部に放出し、しかし外部からの水は通さない非常に優れた材料です。
上の画像は透湿防水シートの重ね代を確認している画像です。
画像のように下から張ってその上に重ねて張るようにします。こうすることによって侵入した雨水等が上から下へ流れる為建物内に入ってこない仕組みになっています。
本来重ね代は画像内の破線(点線)分100mmで良いはずですがこの会社は倍の200mm重ねています、より良いという事です。
へぇー
サイディング同様にこの上に胴縁(厚さ15㎟程)を打ち付け通気層を確保します。
建築会社によってはこの上にまた防水紙を張ってそのまた上に剥離やクラック防止のためにラス網という金網を張りモルタルを塗ります。
この現場は胴縁と2回目の防水紙を施工せず裏側(建物側)に凹凸があるスポンジを使って凹凸部分で通気層を確保する工法です。
キラキラ光っているのがラス網です。
いろいろな工法があるんだなぁ
因みに現場監督や職人さん達はcm(センチメートル)ではなくmm(ミリメートル)を使用します。
年配の職人さんの中には寸を使う人がまだいますが、わたしがこの業界に入ったころはかなりいましたが現在では少数派になっています。
私がこの業界に入ったころの大工さんは寸でした。
モルタル塗り
モルタルとはセメントと水と砂骨材(砂)を混ぜたものです。
モルタルに粗骨材(砂利)を加えたものがコンクリートです。
ほぉ~
各建材メーカーから発売されている左官工事のセメントや混ぜ込まれている混和剤によりますが、概ねモルタルの塗り厚は25~35㎜です。
1階にボテッと塗り込むと剥離やクラック原因になるので2~3回に分けて下塗り、(中塗り、)上塗りと塗りつけます。
ラス網への食いつきを良くしたり、剥離防止のために下塗りはセメントの割合を多め(富調合)にします。上塗りになるにしたがってセメントの割合を少なめ(貧調合)にします。
20年ほど前は下塗り、中塗り、上塗り各工程へ行く前に1~2週間ほど放置(養生)して乾燥収縮が落ち着いてから次工程に進めていましたが、最近の材料は工期短縮のために放置時間が少ないものが普及しています。
下塗り、中塗りもそうですが上塗りは特に方面の平滑化(平具合)に注意しなければいけません。
上塗りが終わるとこんな感じです。
養生期間
上塗り後すぐに仕上げはしません。
なぜかと言うと細かいクラックが発生するからです。
仕上げてからクラックが発生してはせっかく仕上げ(塗り物や吹付け)たのが台無しになってしまします。
乾燥収縮でどうしても表面にクラックは発生してしますのでここで10日ほど養生期間放置します。
養生期間後クラックがあれば補修をしていよいよ仕上げとなります。
仕上げ(内外装)
仕上げ材は一番普及していると思われるアイカ工業のジョリパットを紹介します。
下記に商品情報を張りました。
大きく分けて鏝塗りと吹付けに分かれます。
鏝塗りは職人さんが手作業で鏝で丁寧に塗り付け仕上げます。
鏝斑が出ないように平滑に仕上げたり、逆に鏝斑を抱いたりして外壁に表情を付けます。
吹付けはコンプレッサーを使って高圧空気で壁面に吹付けます。
こちらは吹付け斑が出ないように細心の注意が必要です。
よくあるのは足場材の部分が吹き重ねが多く斑になり、足場を外すと足場の形がうっすらと分かってしまう事があります。
そうなったらどうするか?
もう一回足場を組んで吹き直す羽目になります。
とても切ない気持ちになります
まとめ
サイディング工事を乾式、左官工事を湿式と言ったりします。
その呼び名の通り左官工事は乾燥や強度が出るまで待つ時間(養生期間)が必要なため仕上げまでに時間がかかります。
なので工程管理には気を使います。
梅雨時は倍ぐらい工程を見ないと後で大変なことになります(汗
外壁の仕上げをサイデイングにするか左官にするか迷うところですが、ここ腰を据えてじっくり時間をかけて決めるのをお勧めします。
何故ならば
外壁で建物の印象が決まってしまうからです。
以上、帯刀でした。
ありがとうございました。