二世帯住宅というと「相手の親とうまくやっていけるか心配」「プライバシーの確保方法は?」ということをよく聞きます。
いくら親と言ってもこちらも同時の生活があるので、四六時中顔を合わす生活は疲れそうですよね。
しかし全く交流がないのは「いかがなものか?」と考えたりしてますか?
・親の面倒は見たいけどお互いのプライバシーを確保した二世帯住宅にしたい
・ある程度の距離感を確保したい
・お互いの生活の確保するためのプランとは?
あともうひとつプライバシーの確保もとても重要です。
そこで親世帯との融合率が重要になってきます。
キッチンや浴室、洗面所の共有や寝室同士の距離など、建てる前にキチンとプランを立てればお互いの生活を尊重しながら、そしてある程度距離を置いて生活することができます。
中にはもはや二世帯にする必要がないほどお互いがお互いに干渉したくないのに、二世帯にする必要があるのか?と思う一方で結構な歳なので気になるので二世帯住宅を選択する方もいると思います。
そこで木造、非木造併せて現場監督歴35年、一級建築施工管理技士の帯刀が今回は工法や材料の紹介ではなく、プランについて対策をお伝えします。
では、参りましょう!
親世帯との生活をより良いものとする二世帯住宅には3つのタイプがあります。
融合率は間取りにより多少前後しますのであくまで目安になりますが、大まかに分けるとこの3タイプに分かれます。
完全同居タイプ(融合率約50%)
玄関、水回り、LDKを共有とします。
共有部分が多いため建築費を抑えられ、経済的なプランになりますが、その反面共有部分が多いので、家事分担、経済分担、生活スケジュールを決める必要がある。
家事分担や生活スケジュールは紙に書いてお互いの生活エリアをつなぐドアや廊下の壁に貼り付けて、行きかう際に確認するぐらいの気持ちが必要です。
プライベート空間の分離では上下分離の場合はさほど問題になりませんが、平面分離の場合はキッチン、LDKなどを挟んで親子各世帯のプライベート空間は分けて設計するのがいいでしょう。
遮音という意味では上下分割の場合は2階床に遮音シートを敷く、1階天井を防振吊り木を使ったり吸音材を敷き込むなど対策が必要になります。
二世帯住宅ではない場合でも壁の遮音に断熱材を入れてほしいと言われますが、吸音材、遮音材ではないので効果は期待できません。
確かに何もないよりはマシでしょうが、キッチリと効果を得たいのであれば少し高くても吸音材、遮音材を使用しましょう。
話が逸れましたが要するに、完全同居タイプは接点が多い(融合率が高い)ので各世帯間の境界線をハッキリさせる必要があり、尚且つお互いのプライベート空間を確保しつつ手助けし合える為に事前に家事分担、経済分担、生活スケジュールを決めてから設計士とプラン検討にないるようにしましょう。
分離共有タイプ(融合率約40%)
玄関や水回りの一部を共有とします。
家事分担、経済分担、生活スケジュールの何をどこまで共有するかで距離感の調整が可能なプランです。
このタイプも完全同居タイプと同じで分離したいこと、共有したいことを明確にする必要があるでしょう。
このプランではメインの玄関とサブ玄関を造ったり、玄関入って床に上がった先に世帯別のドアを二つ造る平面分割、または同じく床を上がってからドアと階段で上下分割した建物を造った経験があります。
ただ、上下分割の場合は奥にもうひとつ1階の洗面、浴室に向かう階段を造りました。
距離感の調整が可能な為間取りのバリエーションが豊富な反面、建築費は完全同居タイプと比べると少し高くなり、完全分離タイプとの中間ぐらいになるでしょう。
完全分離タイプ(融合率約10%)
このタイプはその名の通りすべてを分離っするプランです。
キッチン、洗面、浴室、玄関までも別々に造り、融合率の10%は門扉から玄関までのアプローチぐらいでしょうか。
分かりやすく言うとマンションの隣家のイメージです。
前出の2タイプとは違い、お互いの生活ペースを尊重しながら生活できるタイプですが、玄関、水回り等すべて2世帯分造らなければいけないので他に2タイプと比べ建築費が高くなるのは想像しやすいと思います。
ここまで別々にすると二世帯住宅にする必要があるのか?と思うでしょうが、「親の面倒は自分が見るんだ!」という強い責任感の現れでしょう。
まとめ
各タイプを跨いで書きましたが「家事分担、経済分担、生活スケジュール」の何をどこまで共有するかを事前に親子で決め、設計検討して入居後は決めたことを厳守する事が一番大事で一番難しいところだと思います。
親子で検討する際はこの先何年も過ごす家ですから遠慮をしてはいけません。
喧嘩をするまでいってはいけませんがお互い意見を出し合って折り合いをつけるようにしましょう。
そして設計士とプラン検討の時に親子でここまで話して喧嘩寸前までいった事とかを話すと、設計士もその経緯を汲んで分離の度合いや間取りを考える材料になりいいアドバイスを出してもらえると思います。
経済的負担に関しては電気、水道、ガス各メーターを分けて設置すると明確になり、あとは食費や衣類は個別で負担(支出)すればいいのでお勧めです。
加えて分けた方がいいのはインターホンと表札でしょうか。
世帯別に生活スケジュールが違うと来客時間も変わると思いますので。、世帯別に要した方がよいでしょう。
以上、帯刀でした。
ありがとうございました。