新居に引っ越して暫くして落ち着いてくると、いろいろと気になる事や気付いたことがあると思います。
例えば壁、「えっ新築なのに壁にヒビが」
例えば床、「廊下を歩くと音がする」
続いて頭に浮かぶのは「これってテレビで見た欠陥住宅ってやつ?」
大丈夫⁉
そういう経験ありませんか?
そこで木造、非木造併せて現場監督歴35年、一級建築施工管理技士の帯刀がよくある事例をもとに経年変化なのか欠陥なのか、加えてアフター対応について説明します。
では、参りましょう!
クロス 入隅の割れ
この症状は工事が終わって2年以内であれば経年変化に入ると思います。
入隅とは部屋の四隅や天井と壁の接点の引込んだ隅の事です。
逆にたまに足の小指をぶつける出っ張った角を出隅と言います。
今は大手の住宅メーカーから町の工務店まで殆どの建物のクロスは入隅で貼り継いででいます。
なぜかと言うと、クロスはその下の石膏ボードに貼ります。
その石膏ボードは木製の下地材に留め付けています。
石膏と留め付けている下地材が乾燥収縮で反りが出たり痩せて動きます。
石膏ボードは下地材と一緒に動き、クロスもまた石膏ボードと一緒に動き結果すロス貼り継ぎ部分に隙間ができます。
40年くらい前の建物は入隅で貼り継がず一枚で貼っていました。
すると上記のように石膏ボードが動くと入隅部分は剥がれて角ではなく丸く前に出てきます。
こうなると補修ではなく張替えになります。
入居後の張替えなので家具等を動かさなければ張替ができません。
結果大掛かりな工事となりご迷惑をかけることとなります。
しかし現在のように入隅で貼り分けていると下地材が動くとクロスが肌別れして小さな隙間ができます。
その隙間に専用の充填剤を充填するだけで補修ができるのであまりご迷惑をかけることなく完了します。
以上の理由でクロスは入隅で貼り継いでいます。
入隅の割れは日当たり、特に西日が当たる部屋やエアコンをよく使うLDK、湿気の多い洗面所で症状が出やすいです。
完成後1年で大体落ち着きますが、私の経験では保証期間を2年としている場合が多いです。
床 歩くと音がする
この症状も工事が終わって2年以内であれば経年変化に入ると思いますが音の原因によってはもう経年変化ではなく欠陥になると思います。
床を歩くと音がする症状を床鳴りと言います。
床鳴りには大きく2種類があります。
パキッと音がした後にも一度歩いても音がしないのは床鳴りではなく床材が馴染んでいないのが原因です。
何度歩いても同じところでギシギシと音がするのは床鳴りになります。
床鳴りも床材(フローリング)が鳴っている場合とその下の構造合板が鳴っている場合があります。
床材の場合で局所的な場合はサラサラとした液状の接着剤を注入しますが、広範囲の場合は残念ながら張り替えた方がいいでしょう。
構造合板の場合は構造合板の留め付け不良、大引きの取付け不良が考えられ欠陥となります。
大引きとは床の荷重を受ける部材で土台と組み合わせて床を支えます。
基礎の上に乗っかているのが土台、土台と土台の間に掛かっていて基礎の乗っかていないのが大引きになります。
局所的な場合は床下から大引きと構造合板、大引きと土台にビスを増し打ちします。
広範囲の場合はやはり床材を剥がすのは現実的ではないので局所的と同じく床下からビスを増し打ちしてそれでも収まらない場合は床材を剥がして構造合板と土台、大引きに打ってあるビスのピッチを確認する必要があります。
現在は構造合板と土台、大引きには接着剤を併用している現場が多いので床鳴りの原因はほぼ床材と言っていいでしょう。
床材が原因の場合は経年変化、構造合板の場合は残念ながら欠陥となります。
建具 掛かり、建付けが悪い
開き戸(ドア)、引き戸両方とも木材に留め付けるのでクロスと同じく経年変化になります。
最近はどのメーカーも後から調整できるように調整機能があります。
やり方を覚えれば誰でも調整できるようになりますが、蝶番(ちょうつがい)は3Dで動くので馴れない人は触らない方がいいでしょう。
最悪、元の状態にすら戻せなくなるので、ここは業者さんにお願いするのが賢明です。
土間コンクリート クラック
土間コンクリートは構造体ではないので各社により基準が違いますが概ねクラック幅が0.5mm未満は経年変化、0.5mm以上は欠陥とする会社が多いと思います。
土間コンクリートのクラックに気付くのは洗車時が多いです。
コンクリートは硬化時にヘアークラックという目に見えない細いクラックが入る場合があります。
乾いている時は確認できないのですが、雨や洗車等で濡れるとクラック内に水分が入りクラックが目視できるようになります。
このヘアークラックはけっこ細かく縦横無尽に入っているのでビックリして連絡をいただくことがほとんどですが特に問題ないです。
クラックの幅を測定するにはクラックスケールという定規を使用します。
どういった物かは下記リンクから確認してみてください。
クラックスケール クリアタイプ – シンワ測定株式会社 (shinwasokutei.co.jp)
規則的に縦横に100mmから150mmの間隔でクラックが入っている場合は、カブリ厚さの不足による現象ですのでこの場合はコンクリートを打ち直してもらいましょう。
コンクリートを枠に流し込むことを「打設」や「打つ」という言い方をします。
カブリ厚さとは鉄筋とコンクリート表面までの寸法になります。
一般的に土間コンクリートではカブリ厚さは50mmから60m位です。
このカブリ厚さが不足すると鉄筋なりにクラックが入りますので目視ですぐに判別がつきます。
シャッター 開閉時重い
この現象は入居後すぐに発生する事が多いです。
経変変化というより開閉の仕方によることが多いです。
特に冬場に多いです。
手動なので窓を開けてその後にシャッターを開けますが、この際に寒いからと言って窓を少しだけ開けてシャッターの端をもって開閉するとシャッターが斜めになってしまい開かない、または閉まらないことになります。
対策としては寒くても我慢して窓を開けてシャッターの真ん中を持って開閉しましょう。
以前お勧めのオプション(電動シャッター)についてのリンクを貼りますので良かったら読んでみてください。
電動シャッター、床暖房、勾配天井 【お勧めのオプション】 – ouchi-kantoku
内覧後の指摘
台頭から少し離れますが入居後に連絡をいただことが多い項目として「内覧後の補修対応」について少しお話しします。
工事が終わってお引渡しまでの間に最低で社内検査、不動産業者様からの請負物件では施主検査、その後内覧により傷、汚れ、建材の色等の仕様について最多で計3回の検査を行います。
社内検査、施主検査の後に指摘事項の是正工事を行い内覧を迎えます。
内覧は実際に入居されるエンドユーザーの方により実施し、その際の指摘事項に対して是正工事を行います。
指摘事項の是正漏れは別ですがそれ以外で「入居後に気付てた」と言われても対応しません。
それだけ内覧は重要なのです。
「後からでも直します」なんて調子のいいことを言う営業がいますが、私は直しません。
住宅の場合、現地を確認し判を押すと言うことはそれほど重要という事です
今後何千万もの支払いをするのですよ、しっかりと確認しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここに書いたことは私の経験によるところが多いので、契約の際は各工事別の保証期間やアフター対応については契約時に判を押す前に必ず確認しましょう。
判を押してからではどうにもなりませんよ。